2025年4月11日
急速に進む少子高齢化のあおりを受け、医療・福祉・介護の社会保障財政が逼迫(ひっぱく)している。2025年8月に予定されていた高額療養費制度の見直しが先送りされるなど、国政でも大きな争点となった。M&Aは社会保障問題の解決策になり得るのか?日本記者クラブ(東京都千代田区)の会見で、中村修一医療介護福祉政策研究フォーラム理事長(元厚生労働省老健局長)に質問した。
「社会福祉法人だけでも2万事業者が存在するが、年間売上高が10億円を超える(大手)事業所は10%程度。社会保障関連産業には零細事業者が多い」(中村理事長)のが現状だ。
社会保障費削減の動きや運営経費増、人手不足といった逆風の中、「経営基盤を強化するには(規模が)大きい方が良いという考え方もあり、できるところはM&Aに取り組んでいる」(同)と、M&Aが社会保障関連産業の強化につながると見ている。
ただ、一方で「社会保障関連事業は自営業が大半で、一国一城の主のような経営者も多い。それぞれの経営政策や方針もあり、他の事業所と一緒になるのは難しい側面もある」とも指摘。
こうした独立系の零細事業所については「他の事業者と共同で人材確保や研修などに取り組む自衛策や、他にないサービスを提供するなど、規模の小ささを克服する取り組みが必要だ」(同)という。
社会保障財政の立て直しについては「高福祉・高負担」の象徴的な国だったスウェーデンで、高福祉を維持しつつも社会保障負担率(年金や医療保険などの社会保障の負担額と国民所得との比)が日本よりも低くなったことを挙げ、安易な国民負担の引き上げや医療・福祉・介護の経費抑制に警鐘を鳴らした。
中村理事長は「スウェーデンの社会保障負担率が低いのは、国民所得の成長が社会保障費の増加を上回っているから。日本は高齢化で社会保障費が増えているのに加えて、人口減少や30年以上にわたる低成長により国民所得が伸び悩んでいるため負担率が上がっている」と解説する。
「日本経済が成長しない限り、(どのような手段を講じても)社会保障制度は苦しい状況になるだろう」と、経済の回復なしに社会保障制度のサステナビリティー(持続可能性)は担保できないとの見方を示した。
中村理事長は「社会にセーフティーネットがあるから、国民も安心して仕事をしたり、新たなチャレンジができたりする。社会保障なしに経済成長は実現できないのではないか」と、社会保障制度維持の意義を強調している。
配信元:文:M&A Online
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